AIは弁護士の“目”になるか?契約書レビューAI「AI-CON」が法務コストを90%カットする

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AIが仕事を奪うと言われていますが、士業の花形である弁護士の仕事も例外ではないかも知れません。

一般的に弁護士の仕事は、民事事件や刑事事件の裁判で当事者の代理人となったり、そもそも裁判にならないように、企業間の契約内容や契約書作成のサポートをするイメージ。契約書などはかなりの文量があり、チェックの時間が相当かかりそうですよね。

今回はAIで契約書レビューをおこなうサービス「AI-CON」を展開する、GVA法律事務所およびGVA TECH株式会社代表の山本さんへお話を伺いました。

契約書リスク判定サービス「AI-CON」とは

――はじめに、AI-CONのサービス概要を教えていただけますか?

――山本
「AI-CONは契約書をアップロードするだけで、

  • 必須条項の有無
  • 条項ごとのリスク判定
  • リスクが大きい条文の修正提案

    をしてくれるサービスです。」
  • 契約書レビューのイメージ



    条項ごとのリスク判定。「有利、やや有利、適切、やや不利、不利」と判定してくれる

    不足している項目や、リスクのある箇所の修正案をサジェストしてくれる

    ファイルをアップするだけでここまでやってくれるとは……!不利な条項を一目で確認できる上に、修正案まで提案してくれます。

    弁護士事務所に依頼したら数万円かかるようなことが、AI-CONだと契約書ひとつにつき2,000円(月額利用プランの場合)で可能。1/10以上のコストを削減できるようです。

    ――ここまで低コストな理由は、オペレーションが自動化されているからなのでしょうか?

    ――山本
    「将来的にはAIで完全自動にしたいですが、現時点ではAIのみの判断に任せるのは危険ですね。

    “完全自動”だと勘違いされがちですが、ユーザーに提供しているレビューはすべて弁護士がチェックしています。」

    いわゆるマン・イン・ザ・ループですね。山本さんいわく、契約書はすべて自分の有利にすることが正解ではないんだそう。

    ――山本
    「“自分有利”な契約書ということは“相手不利”ということなので、それだと契約として不公平なものになってしまいます。

    契約書で大事なことは、自分が譲れるところと譲れないところを考えて、各条項をそれに合わせたものにしていくことなんですよね。

    AI-CONでは各条項の有利不利を5段階で判定していて、自分のこだわりに合わせてカスタマイズできるようにしています。」

    たしかに、デザイン業務委託契約などでは、”デザインの2次利用は可能か否か”など、本人や委託業務によって、こだわりたい点などは変わってきます。

    すべてを自分有利に変えてしまうのではなくサジェストにとどめることで、自分のこだわりに合わせられるのはかなりニーズがありそうですね。

    契約における知識格差をなくしたい

    ――どういった経緯でAI-CONの開発に至ったのでしょうか?

    ――山本
    「今までの法律事務所での経験から、大手企業とスタートアップの契約内容を見ると、大手企業が圧倒的に有利な契約内容が多くて。その知識格差を解決したかったんです。下記のようにNDAでも統計的にみると、非常に不利な条項が入っておりスタートアップの事業を妨げるものも少なからず存在します。」

    NDAの条文ごとに出現数・出現率をまとめた統計(GVA法律事務所調べ)。知的財産権などの条項は出現率も高く、かつリスクも大きい。

    スタートアップは弁護士の契約書レビューにお金をかけられず、法律知識が少ない中で自分たちで契約書を作成する場合が多いそう。

    たしかに、サービスをどうグロースさせるのかを考えなければ会社が潰れる状況で、法務関係は後回しになりがちなのは事実。

    ――山本
    「また、型がある契約書は、若手弁護士とベテラン弁護士のどちらが見てもあまり差が生まれません。そこもAIで効率化すればいいと思ったのも理由のひとつですね。」

    山本さんによれば、特にNDA(秘密保持契約書)などの型が決まっている契約書のレビューは、若手とベテランでクオリティに差が生まれないんだとか。

    しかし契約書なので、しっかりチェックする必要はあります。そうなると、使う時間はあまり変わらずお金だけがかかる……。ここを解決できれば、ベテラン、若手ともにより複雑な業務に取り組む時間ができますね。

    AIが契約書チェックの仕事をなくす?

    ――実際にAI-CONを導入した場合、どの程度業務が削減できるのでしょうか?

    ――山本
    「厳密に計れてはいませんが、弁護士が今までかけていた半分の時間で契約書のレビューができています。」

    なんとすでに従来の半分の時間でレビューができるとか。単純に考えても業務効率が2倍になったということで、その分だけ弁護士は他の重要な業務に時間を使えます。

    ――今後の展開はどうしていくのでしょうか?

    ――山本
    「現在はひとつの契約書レビューに1営業日かかっているのですが、2時間で返せるようにしたいですね。

    あとは学習データをさらに集めて、自然言語処理で言葉の意味認識の精度を上げること。契約書の条項の内容って統一されていないので、学習データを溜めるのが難しいんです。」

    精度を高く、かつ2時間でレビューを返せるようになると世界が変わる、と山本さんは語ります。

    6月7日にはスタートアップ・フリーランスに特化した契約書テンプレートを公開したGVA TECH。このテンプレートで契約書を作成し、AI-CONでレビューすることで、ますます学習データが溜まりやすくなります。それによってレビュー精度が上がれば、AIによる契約書レビューの完全自動化も夢ではなさそうです。

    ちなみに、AI-CONの料金表はこちら。初回1通は無料なので、まずはお試しで使ってみるのもいいかもしれませんね。