ビズリーチがAIで仕掛けるHR-Tech『HRMOS(ハーモス)』の目指す”ヒトが輝く”ための戦略人事

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ビズリーチが『HRMOS』なる秘密兵器をひっさげて、HR-Tech領域で何か企んでいるらしい…。

速報リリースが出た時からもう気になって気になった仕方がなかったので、さっそく開発責任者で取締役の竹内さんに直撃取材してきました。

ありえないスピードでおかしな数のサービスをリリースし、業界を常に驚かしてきたビズリーチが次に何を仕掛けるのか?インタビュースタートです。

雰囲気をデジタル化する。既に稼働中の機能について

―さてさっそくなんですが、『HRMOS』ってつまりなんなんでしょう?HR領域における人工知能利用型サービス?程度にしか分かってなかったりするんですが…

―竹内
あはは(笑)まぁそうなりますよね。要は『A社で活躍できる人とB社で活躍できる人は、例え同業同職種であってもカルチャーによって大きく違う』っていうある種の ”感覚で判断していた部分” を可視化するためのツール。ですね。

―竹内
まだまだこれからな部分が多いんですが、今後数ヶ月で大きなアップデートを行っていき、半年で判断のためのデータ蓄積完了。1年後くらいでの本格稼働を目指して開発中なんですよ。

竹内さんいわく、ハーモスが可能にしていくのは

  • 社員の成果、成果に対する上長コメントなどの言語解析
  • 出退勤データや経歴データのディープラーニング
  • 上記をベースとした『その企業が伸びるために採用するべき人材像』の明確な見える化

とのこと。以前にLedgeでも紹介したIBM KenexaFRONTEO KIBIT などの機能に近いですが、より戦略的な「どんな人材を採用するべきで、採用した人がその後どうなったのか?」という部分に特化したHR-Techサービス。という感じでしょうか。

ちなみに上記のようなAIを利用したデータ解析+可視化の部分は現在開発中なものの、実は既にサービス自体はリリースされています。

現時点でハーモスが搭載済みの機能は以下の通り

  • 採用&応募者管理モジュール
  • 面接官ごとの『評価の甘さ&辛さ』グラフ
  • CSVによる応募者情報の移管機能
  • 求人票・採用&応募者管理モジュール
  • リファーラル促進機能

もうこの段階で、面接官ごとの評価グラフなどユニークな機能が搭載されていますが、さらに今後は『セールスフォースと連携した成果数値の取得』『社内評価データの取り込み』『勤怠管理情報の連結』などをAPIから簡単に取得することが可能…と。

すでに結構な高機能っぷり。すごいですねこれ。

―竹内
まだまだですよ(笑)APIの登録時に定性データなのかか定量データなのか、その情報の判断における重要度、そもそもテキストなのかフラグやレベルデータなのか?などなど。

かなりカスタムしてのデータ取り込みが可能なので、RMとのつなぎ込みに専門スタッフが必要… なんてことはほとんど無くしていけると思っています。

なるほど。実際触ってみましたがこれは分かりやすい。

まだまだ開発中とのことでしたが、これなら専門的な知見なんてなくても問題なく設定できてしまいそうですね。

仕事マッピングアプリ『スタンバイ』で培った自然言語解析系技術

―ちなみに技術的な部分ではどうなんでしょう?言語解析やディープラーニング系の技術となると、一朝一夕というわけには行かないとは思いますが。

―竹内
まぁそうですね。何の知見も無く手を出すと中々大変だと思います。ただ、ビズリーチには『スタンバイ』で培った言語解析系技術のベースがありますから。

僕も含めて、言語解析にも強いエンジニアが集まっているんですよ。

※『スタンバイ』とは?

16年にビズリーチが、地図で仕事が探せるアプリをリリース。実に1,000以上のサイトをクローリングし、通常求人情報には入っていない住所情報などを自然言語解析から取得。位置・条件・概要系情報と各種フラグなどをAIによる推測から設定。地図上で求人を探すことができる。という、ちょっとすごすぎてなんだかよく分からないサービス。

―竹内
HRMOSの根幹を走る処理も、基本はこれと同じです。

文章やメールでやりとりされる「定性的な情報」を解析。そこから

  • プラスの評価を受けるのはどんな人か?
  • 同じような特性を持ちながらまだ評価されていない人は誰か?
  • 近しい特性を持つ人を集めるにはどんな人を求人すればいいのか?
  • 彼らと接する際の面接スキームはどう組むべきか?

そんなデータを見えるようにしていくツールになっていく予定です。

―竹内
これまで俗人的な感性でしか把握することが困難だった

  • すごく良い人材だけど、成果がでるまで半年かかりそう
  • この人すごく良いけど、○○の部署だとあんまり上手くいかないかも

みたいな『経験と勘』からくる仮説部分を全人事担当が共有し、活用し、戦略的に利用していけるよう可視化する。そんなイメージですね。

なるほど。確かにそういう『経験と勘』での判断って、重要は重要なんですが、それを共有して組織化しようと思うとまぁかなり難しくなっちゃいますもんね。

そこをAIに任せてデータ化。スタンバイで培った自然言語解析のノウハウがあれば、それもなんとかなる。と。

いやこれ、話聞いてるだけでワクワクが止まりませんね。すごい欲しいです。

―竹内
実はもともと、HRMOS自体がスタンバイのバックグラウンドアプリとしてリリースする予定だったんです。

けど途中でその可能性の面白さにチーム全員夢中になってしまいまして。スピンアウトしたプロジェクトだったりするんですよ(笑)

カルチャーフィットの可視化は経営のDNAになる

―HRMOSが人事を変えた先、どんな未来になっていくか?なんてお伺いしてもよろしいですか?

―竹内
企業において、誰がどんな価値を生み出したのか?またそういう(成果を生むような)人を積極的に採用していくためには何をどうするべきなのか?

この辺はなんというか、ずっと昔から『ちゃんと考えないといけない』と誰もが認識していながら、具体的な手法があやふやだったんです。

―竹内
よく言われる「うちの採用は、スキルよりカルチャーフィットを重視する…」みたいなものですが、結局ずっと感覚的で直感的な『勘』基準だったんですよね。

うーん、何というか、これはごもっとも。

組織が大きくなればなるほど、「入るときはやたら色々見るけど、入ってからはせいぜい成果数値くらいしか見てもらえない」ってのが当たり前になっていきますし、なにより人事側に『自分が採用を推したあの人がどうなったのか?』というフィードバックが見えなくなってしまいやすくなるもの。

カルチャーフィット…と。まぁ耳触りと使い勝手の良い言葉でフワッとさせてますが、これを戦略的に狙って行っていくのは…ちょっと…。て感じですもんね。

―竹内
ですね。そこを行動や評価の履歴とあわせて可視化できれば、もっと明確に「こういう人が今の自社のフェーズに必要だ」あるいは、「○○なことをやろうとするならこれからこういう人を採るべきだ」という指針になっていくと思うんですよ。

―竹内
さらにもっとそれが進めば、例えば新卒でも既卒でも面接前に『模試』みたいなものを設けて

  • 自分が入ってから活躍できる可能性
  • 個々人にとっての入社後活躍難易度

みたいなものを誰もが可視化。実際の選考前に大体の判断ができて、無駄なく気楽に職場を選べる…なんて動きが加速できるかもしれないですね。

確かに。

企業側にとって必要な人材の要件が明確になること。そしてその情報が開示され、個々人が自分の特性とすりあわせて判断ができるようになった未来。

ちょっと怖いような気もしますが、多分、結局のところ今よりずっと人間に優しい未来になっていく。そんな気がしちゃいますね。

本当の意味での『戦略人事』が根付いた先に見るビジョン

―竹内
ある程度大きな組織になれば、社長が全員と1対1で対話するなんて不可能になっていきます。

が、似たような特性を持つとデータ上類推できる人10人と対話して「何をどうしていくべきか」を考え、実際の施策を回していくなら、可能なんです。

人よりも先に、正確に。人事的情報をもっともっと可視化していく。それがHRMOSのやろうとしていることなんですよ。

―竹内
実はすでにビズリーチ社内でクローズドなツールとしてプロトタイプが稼働中なんですが、もう面白い傾向は見えはじめています。

例えば「ちょっと時間にはルーズなほうが成果が出やすい」なんてデータが出たりして(笑) まぁこれは冗談ですが、そういうデータが貯まって信憑性を増してきたなら、フレックスを検討することを進めてみればいいだろうと思います。

戦略的な人事って、そうやって人事制度も変えていけることだと思います。

後記

すでに動き始めているビズリーチの新たなる挑戦、『HRMOS』。日本国内におけるHR-Techの台風の目になるんじゃないか感バシバシ感じさせていただきました。

リリースはまだ未定とのことでしたが、おおよそ1年後のリリースを目指して現在鋭意開発中とのこと。今後も続報ガシガシ追っかけて行こうと思いますので、ひとまず期待しつつ待ち。ですね。

ではまたー